ステロイドの働き

☆1.血管収縮作用☆
炎症部位では、血管が膨らんで赤く見えます。血管を収縮することで、赤み(紅班)を抑えます。

☆2.抗炎症作用☆
一度に多くの白血球が病巣部に集まり、強い炎症反応が起きないように白血球が集まるために必要な物質、白血球を活性化させる物質(サイトカイン)、呼び寄せる物質(ケモカイン)、炎症を促進させる物質(ホスホリパーゼ)の産生を抑制します。また、カユミなどのアレルギー反応のもとであるヒスタミンをつくる細胞の増殖を抑えます。

☆3.免疫抑制作用☆
炎症と免疫は一体となっています。1度入ってきた異物を2度目は素早く排除するために、異物を記憶してお掃除するための道具である抗体を作り蓄えてあります。本来ならば、異物として記憶してはいけないものまで記憶してしまっているのがアレルギーや自己免疫疾患です。記憶を持って働いている白血球を抑え、これらの過剰な免疫反応を抑えます。通常、正常な白血球は、ステロイド剤の影響は受けにくいのですが、強いステロイド剤の大量の長期連用や、患部が清潔な状態に保たれていない場合、また著しく免疫が低下してしまっている方には、感染症にかかりやすくなる場合もありますので、ご注意ください。

☆4.細胞増殖抑制作用☆
炎症反応を引き起こす細胞の増殖を止め、過度な炎症反応を引き起こす、活性化しすぎた白血球を自殺に追い込み、炎症をコントロールして正常な細胞に被害が広がるのを防ぎます。また、傷の修復に関わる細胞の異常な増殖を抑え、コラーゲンやエネルギーの無駄遣いを抑えます。
この作用を利用して、ケロイドや傷痕の治療に用います。

Author 壽代 - Category おくすりの話 - 2007年03月01日

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