花粉症のしくみ

今回は、花粉症について、書こうと思います。専門的なことは、なるべく省くつもりですが、多少出てくることもあると思います。また、簡単に書きますので、省略している部分もあると思いますので、ご了承ください。

Q.花粉症ってどうやっておきているの?
1.呼吸をした時に、空気と一緒に入って来た花粉は、粘膜(ハナ・目・のど・気管支 など)に付着します。
2.通常、花粉は、粘膜を通過することなく出て行ってしまうものなのですが、粘膜に穴があいたり、もろくなったり、もともと粘膜の網の目が粗く、容易に大きいものでも通してしまうような状態になっていると、花粉たちは、粘膜から体のなかに侵入してしまいます。
たとえて言うならば、花粉症ではない(=アレルギー体質ではない)方の粘膜は、その網の目がストッキング位だと思ってください。それに対し、花粉症をはじめとするアレルギーの方の粘膜は、その網の目が、ミカンの入っているネット位大きくなっていると思っていただくとわかりやすいと思います。
3.通常、花粉症でない人でも体の中に花粉が入ってきてしまうことはあります。しかし、許容範囲内の量ならば、体の中のお掃除細胞たちが、入って来た花粉をパクパクと食べて肝臓に運び、体の外に出してくれています。
ところが、荒れた粘膜から、一度に大量の花粉が体の中に入ってきてしまいます。すると、お掃除細胞は、多量な花粉を処理しきれなくなり、悪い物・よそ者(異物)と同じ扱いをして、他の免疫反応を起こすように免疫司令部へと助けを求めに行きます。
4.すると、免疫司令部は、花粉の事を悪い物・よそ者(異物)として認識し、入って来た花粉がすぐに追い出せるように、また、次に入ってきたときに、いっせいに追い出そうとする反応(拒絶反応)を起こすためのスイッチをつくります。これが、IgE(アイ・ジー・イー)抗体といわれるものです。だから、アレルギーの度合いを調べる血液検査では、このIgE抗体の量をみるのです。多ければ、アレルギー反応を起こしやすいという事ですよね?
 最近の研究では、このIgE抗体を作る量が遺伝的に関係があることがわかりました。アレルギーは、粘膜だけではなく、IgE抗体を作る量にも関係があるのです。
5.さて、このIgE抗体に、入って来た花粉が付きました。つまり、拒絶反応=追い出し反応スイッチがONになりました。IgE抗体(スイッチ)は、肥満細胞(マストセル)という大きな袋に付き、袋の口を開かせて、化学伝達物質(ケミカルメディエーター)をたくさん放出します。(まるで、パチンコ台のチューリップのように。。。)
6.この化学伝達物質(ケミカルメディエーター)スイッチに付いて、引き起こす主な働きは、 “花粉を洗い流す(=涙・鼻水)”“血管を広げて拒絶反応を起こしやすくする”“気管支や鼻の中の筋肉縮めて狭くして、花粉が入ってこないようにする(=鼻詰まり・咳・くしゃみ)”“さらに強いお掃除細胞を呼び寄せる(=炎症反応がおこり、のど・鼻・目などの痒みや痛みになる)” などです。
つまり、いわゆる花粉症の症状となるのです。

まとめると・・・体の中に入ってくる花粉の量が多ければ多いほど、拒絶反応がひどくなるというわけです。

さて、近頃 大人になってから急に花粉症になってしまったという方たちが、多く見られます。マスコミなどでは、「体の中のバケツがいっぱいになっちゃったから花粉症になっちゃった」説が、よく言われていますが、バケツというのは、上記中のお掃除細胞の許容範囲を意味しているのです。

少し難しかったでしょうか?頭をひねって考えてみたんですけど。。。
次回は、花粉症の発言率について書いてみようかと思っています。

今回の参考書籍
「体と免疫のしくみ」 上野川 修一 著
「絵でわかる免疫」 阿保 徹 著
「たとえで学ぶ免疫学―第2版―」 御供 泰治 著 

Author 壽代 - Category 健康・知っ得情報 - 2010年03月11日

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