「鰯の頭も信心から」

今年はもう過ぎてしまいましたが、節分の行事にひとつに、柊の枝に鰯の頭を刺して門に飾り、魔除けにするという習慣があります。
このことわざは、そこからたとえられて、鰯の頭のようなつまらないものでも、信じることで尊く思えるという意味です。

これは、お薬にもいえることです。
私はお店で、いつもこのことわざを思い出します。
信頼しているお医者さんの治療や薬剤師のお薬と、信頼をしていないお医者さんの治療や薬剤師のお薬とでは、明らかに効果が違うのです。
これには、きちんとした裏づけがあるのです。人間の脳内麻薬に関係しているといわれています。人間は意識している場合と、無意識の場合では、脳の働きが異なるから、体に対する反応も変わってしまうということなのです。

ここで、お店であった、興味深い2つの話をします。
その1
ある年配の方がお見えになりました。その方は、お薬が大好きで、何でも飲んでしまい、ご家族の方が困り果ててしまうほどでした。夜眠れないからと、睡眠薬がほしいといわれましたが、その方は、すでに、たくさんお薬を飲んでいらしたので、これ以上お薬を飲むことが出来ませんでした。そこで主治医の先生と、ご家族に連絡を取り、話し合いにより、ご本人には内緒で、錠剤の形をしたお菓子を寝る前に、飲んでもらうことになりました。しばらくして、その方がお見えになり、とてもよく眠れる良いお薬だと、おっしゃいました。

その2
患者さんから、ユニークなお医者さんのお話をうかがいました。そのお医者さんは、生活習慣病の専門なのですが、まずはじめに、患者さんに「あなたは、僕のことが好きになれますか?」とたずねるそうです。
患者さんは、考え込んで「どうしてですか?」と、訳をたずねました。そのお医者さんは、「生活習慣病は、生活指導も大切な治療の一つであるし、ストレスが禁物なので、嫌いなお医者さんには、治せない」というようなことをおっしゃったそうです。

色々な、お話をうかがうと、どんなに効くお薬よりも、最先端の医療よりも、お医者さんや薬剤師との信頼が、一番大切なのだと思います。
私も、患者さんから信じてもらえる薬剤師でいられるように、そして、素直に信頼できるように、がんばろうと思うことわざでした。

Author 壽代 - Category 暮らしに活かす 体のことわざ - 2005年03月01日

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