サプリメントと健康食品の基礎知識 その2

今回も、前回に引き続き。サプリメントと健康食品の基礎知識について説明していきます。

今回は、「サプリメント」「健康食品」を使用する時に、気をつけていただきたい点をまとめてみました。

1.健康食品・サプリメントとクスリの違いって・・・・
健康食品・サプリメントは、前回も書いたように、基本的には栄養素です。人間の体にもともと存在したり、外から補って使われている物質もしくは、それに類似したものです。
つまり、体のシステムの滞りに働き円滑に働くようにします。
これに対してクスリは、通常は体に存在しない物質です。
つまり、体のシステムに入り込み、邪魔をしたり、働きを活発にしたりなどして効果を発揮します。
具体的にいえば、クスリは効き目の切れ味は良いがリスク(副作用・薬害など)も考えなければならない。
逆に健康食品・サプリメントは効き目は緩やかなので切れ味は、鋭くない分リスクの心配をあまりしなくてもよい。ということになります。

2.副作用ってあるのかしら?
健康食品・サプリメントはもともと食品の一部として定義されているものですから、薬の副作用のような物ではなく、普通の食べ物や飲み物でも過剰に摂れば害 (例:肥満・生活習慣病など) になるように、間違った使用方法や過剰摂取などによる害として注意していただきたいです。

たとえば、ビタミン・ミネラルの中にはかたよって多くとりすぎてしまうと、過剰症という害をもたらしたり、吸収しきれなくなったものが他の栄養素を巻き込んで一緒に体外に排出してしまい。ほかの栄養素が欠乏してしまうという例もあります。
また、動物由来のもの(深海サメ・コラーゲン・コンドロイチンなど)や植物成分など(いちょう葉・ザクロ・クロレラなど)は自分の状況に応じて摂取するものなので、間違った情報のもとで漠然と摂取してしまうと害が出てしまう場合もあります。

アレルギーや過敏症がある人は、すべての健康食品・サプリメントに対して特に注意が必要です。
ラベルに記載されている諸注意や源材料を事前に確認してから使用してください。

3.お医者さんのクスリと併用してもいいの?
クスリと併用する際には、十分に気をつけなければなりません。
病院のクスリを飲んで治療中の場合は、担当の先生または薬剤師に相談して確認することが必要不可欠です。

 なぜかといいますと、たかが、サプリメント・健康食品だと、思っておられる方が多いのですが、一般的に知られているクスリとののみ合わせ以外にも、まだ報告されていない相互作用はたくさんあり、日進月歩で色々な影響やのみ合わせの報告がされているのです。
ここで、代表的なサプリメント・健康食品との飲み合わせによる害の種類をあげます。
・薬の副作用を強くしてしまう例
・クスリの効果を良くする(必要量を減らす)例
・クスリの効果を弱めてしまう(必要量を増やす)例
 など
この他に一口では、説明できないようなものもあります。
併用する際には、自己判断では、絶対に併用しないようにしてください。

ここまでは、サプリメント・健康食品クスリの悪いのみあわせの説明をしましたが、今度は、良いのみあわせの例について説明します。

風邪をひいた時やおなかのゆるい時には、ビタミンやミネラルの消耗が激しいので、補給する必要があります。
また、他の病気でもビタミンやミネラルの欠乏が、症状の悪化につながる場合もあるので、やはり補給する事も必要です。

ですから、正しい知識や指導の元で、担当の先生に相談して、うまく付き合っていけば、併用しても大丈夫です。

予断ですが、クスリだけではなく、健康食品やサプリメントは、食品や飲み物との相互作用(食べ合わせ)もあります。
使用するときには、摂り方や量などを、購入される際によくきいてから使用しましょう!

4.使用目的は、なんですか?
健康食品・サプリメントの使用目的は、大きく2つに分類することができます。
1つは、日常の食事などで不足しがちな栄養素などを補給する為に使用するもの。
もう1つは、日常の食事ではまず、あまり口にはしないものや、量的に食事では摂取しきれないものなど、病気・症状の予防・改善や免疫力を高めるなど、状況に応じて用いられるものです。

まず、使用になる祭には、使用目的をしっかり理解してからの使用をオススメします。

5.その情報は、正確ですか?
広告や雑誌、本、テレビ、ラジオなどの健康情報を参考にする場合、科学的根拠にもとづいた情報なのかを見極めて選ぶ必要があります。

極端な話になってしまいますが、本や雑誌などは、言論の自由という権利があります。つまり、物語(嘘)でもOKなのです。本や雑誌には、残念ながら、今のところまだ、正確ではない健康情報(嘘・詐欺を含む)を書いても、罪にはならないのです。

氾濫している健康情報の中から、正しい情報を得る為のポイントをまとめて見ました。

専門家の正しい情報ですか? 
医学的な実験結果に対する勝手な解釈ではないですか?
よく、テレビや雑誌などで見られることなのですが、専門家ではない司会者や記者が、医学的な実験結果を勝手に解釈していることがあります。
たとえば、「ココアは身体に良い」とか「トマトは身体に良い」とかいう情報です。
確かに、体に良いのかもしれません。しかし、こういった情報にはかなり漠然としていて、飛躍があり、万人向けではなく、かえって害になってしまう場合もあるのです。

体験談の「〇〇さん」や「Aさん」はあなたではないのです。
よく、新聞の広告やチラシなどで見られることなのですが、「私はこれを飲んで助かりました。」とか「これをのんだらガンが消えた!」とか「これでスッキリ痩せられました!」などという体験談は、具体的で心を動かされるものがあります。
人の弱みに付け込むような、魅力的な文章がたくさんあります。
自分も同じものを飲めば同じようになるような錯覚をおこします。
しかし、酷な話ですが、残念ながら体験談の中の人は、あなたではないのです。

効果に対するの実験方法はきちんをした物なのでしょうか?
よくチラシや広告などで目する外国のデータや「外国では医薬品です」とか「外国ではこのような疾患に使用されています」といった記載がありますが、真実なのでしょうか?
たとえ真実であったとしても、あらためて日本で試験をして審査を受けなければ健康表示が認められません。

また、最近テレビでよく行っている実験を例にあげてみると、少人数(3~4人程度)で行ったり、あらかじめ、全員にどのような効果があるかを知らせてから実験させて効果を実感させるというようなやり方をやっていますが、はじめから情報を与えてしまうと、思い込みから結果が変わってしまい、正しい結果が得られない場合もあります。実験というのはあくまで、気持ちや思い込みが入らないように情報を与えずに、同じような条件(体格・体質・性別・年齢など)を持ったヒトの集団をつくり、行った集団と行っていない集団の結果を比べて見るというのが正確に近い値となります。
それでも、結果は完全に信用できるものではなく、医薬品の実験や正しい結果を知る為の実験は、さらに細かい二重盲検法というの方法が用いられているのです。

少人数で行い、なお且つ先入観が入った実験結果というものは、正確性にかけるのではないでしょうか?

6.品質は確かなものですか?
健康食品・サプリメントは、あくまでも食品ですので、クスリ(医薬品)のような厳しい品質検査ではなく、食品の検査しか受けていません。
ですから、産地や栽培法、品種、収穫時期、調理法(調整法)などにより左右されます。
また、海外から輸入されたものの中には、日本では許可されていない農薬・添加物・成分を使用している場合や、同じ名前の植物でも日本のものとは異なった種類や成分のものなどもあり、それらによる健康被害も出ています。

 天然と合成の違いについては、ほとんど違いが無いという説もありますが、厳密にいうと異なるという説も出てきております。
また、天然といっても天然物から抽出したものと、そのままのものなどがあります。
抽出は、目的のものだけを抽出しているので合成品に近い形になりますが、そのままのものは自然の状態のままでバランスよく摂取できるという利点があります。


今回は、かなり長い文章となってしまいました。
そして、辛口なところも多々あったと思います。
最近 ワタシが憤りを感じているのは、あまりにも偽者業者が多すぎるという事です。
人の弱みに付け込んで、健康を商売にしている悪徳業者のおかげで、真面目に相談を行っているところも疑われる世の中になりました。
何を信じたらよいのかわかりませんよね?
本物・本質を見極める目を鍛えないといけませんね。

次回は、今までのサプリメントと健康食品の基礎知識の総括をしたいと思います。

Author 壽代 - Category ちょっと耳より 栄養学 - 2005年05月10日

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